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「物の怪」「妖怪」の明治維新から現代

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明治維新と西洋化の中で

明治維新とその後に起こった日本の急速な西洋化は、「物の怪」や「妖怪」の在り方にも大きな影響を与えました。

まずは、西洋文化の流入です。明治維新の西洋化思想は、海外の出版物の翻訳の立場を上げ、西洋の物語が持てはやされることになりました。妖怪のような空想上の産物のジャンルでは、特に貧乏神と疫病神と死神が並んで語られだします。死神は古典落語でも描かれているため日本の妖怪や神と誤解されがちですが、三遊亭円朝が明治時代に、グリム童話の『死神』かオペラの『靴直クリピスノ』の翻訳本を参考にした創作落語『死神』を噺として出しはじめ、それ以降に日本に広まったものです。このような西洋の物語を起源とする怪物も庶民に認知され、近代史における「西洋の妖怪」として地位を確立してきました。

一方で、日本の古典文化は排斥され、唄や踊りの伝承書が焚書された例もあり、日本古来の妖怪は行き場を失っていきます。また、明治以降は科学的考察が至上とされ、妖怪もその他の迷信の類ともに、排除・廃学の対象となります。江戸末期から昭和や平成に至るまで、その時代時代の民俗学者の著書の発行と民俗学による学問構築が、かろうじて廃学は食いとめましたが、妖怪という日本の文化がもう一度日の目を見るのは、第二次大戦後を待たねばなりません。

妖怪の一般化と活用

現在に至る間に、妖怪はざまざまなメディアで紹介されてきたため、老若男女が知るものとなっています。戦前の紙芝居、戦後の漫画産業の振興、昭和40年代まで続いた貸本屋、そしてテレビ放送の普及など、多くのメディアに対し、近代以降キャラクターとして一部デフォルメされた妖怪たちは、親近感のある存在として多彩に登場してきました。

現在では、遠野物語にえがかれた岩手県の遠野や、水木しげるの出身地でもある鳥取県などに代表されるように、妖怪は観光資源としてや地域活性にも役立てられています。各地では地元の民話・寓話が再発掘され、地域のアイデンティティづくりに一役買っています。京都には町家を改装した妖怪堂という店があり、店主が京都の妖怪案内をするというような「体験型」と呼べるような妖怪活用も出始めています。

ただ、このような妖怪も、伝承を受け継ぐ昔ながらの年長者や年配者が少なくなったこと、自然が身近に少なくなったこと、日常生活からかつての日本文化が失われていることなどから、物の怪・妖怪のもととなる「物」が、「身近でない、良くわからない」ことになっているという危機感が常時あるようになってきました。妖怪という日本の文化の継承の課題がまずここにあります。

新しい「物の怪」「妖怪」

一方で妖怪は、江戸時代にもあったように、創作によって新しいものがどんどん出てくる存在でもあります。現代でも盛んに創作妖怪は生み出され、学校の怪談や都市伝説などから、口裂け女、トイレの花子さんなど新たな妖怪が次々に誕生しています。1975年以降に生じた口裂け女のブームの頃から、これらの都市伝説上の妖怪がマスコミで「現代妖怪」という総称で表現されるようになりました。

1970年代には怪奇系児童書の一環として児童向けに、百科、図鑑、事典などの体裁をとって妖怪たちを紹介する書籍が多く刊行されました。しかし、それら書籍中の妖怪には、古典の民間伝承、怪談、随筆などのものに混じり、古典上に存在しない創作物と思われる妖怪が多いことが現代の研究により指摘されています。妖怪漫画家として活躍する水木しげるの妖怪研究関連の著書の中にも創作妖怪があるとされており、水木しげる自身も漫画『ゲゲゲの鬼太郎』を通じて約30の妖怪を創作したと述べています。

古典上の妖怪たちの中に現代の創作物を混ぜてしまうことは、伝承をないがしろにしているとして批判されることもありますが、前述のように、江戸時代にはすでに妖怪の創作が多く行なわれていたため、古典上の創作が許されて現代の創作が非難されることを理不尽とする意見もあります。また、こうした書籍類でさまざまな妖怪を紹介することが、当時の年少の読者たちの情緒や想像性を育んだとする好意的な見方も存在します。

現代も、『うしおととら』『犬夜叉』『地獄先生ぬ~べ~』『鬼灯の冷徹』『夏目友人帳』『ぬらりひょんの孫』といった、妖怪をモチーフにした漫画・アニメ作品が多数ヒットを飛ばしています。また、スタジオジブリの『もののけ姫』はアニメ映画の名作として長年愛されています。加えて、『妖怪ウォッチ』はメディアミックスの大成功事例として、今後も長く語られることになりそうです。

「物の怪」「妖怪」はこれからもずっと、日本文化の重要なひとつとして、日本人の心に息づいていくでしょう。


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